プレゼンスキルを向上させるコツは非言語媒体にあった
講師は、「伝えるプロ」です。
伝えることは、相手に伝わってはじめて、「伝えた」ことになります。
一方的に話しただけでは、実は、伝わっていないことがあります。
より、効果的に相手に伝わりやすい伝え方をするうえで、はずせない力が「非言語媒体」です。
非言語媒体とは?
ノンバーバルコミュニケーションともいいますが、言葉以外のもので伝わるコミュニケーションを非言語媒体といいます。
表情、視線(アイコンタクト)、姿勢、声の大きさやトーン、スピードなど、言語以外のものからも私たちは多くの情報を受け取っています。
ただ、たんたんと事実を話すのではなく、この非言語媒体を意識して使えるかどうかが、「伝わる講師」のポイントです。
心理学者のアルバート・メラビアン博士は、話し手が聞き手に与える影響がどのような要素で形成されるか測定しました。
視覚情報(Visual)…身だしなみ、ジェスチャー、表情、アイコンタクト、姿勢、身体の向き=55%
聴覚情報(Vocal)…声のトーン、大きさ、速さ、メリハリ=38%
言語情報(Verabal)…話す言葉そのもの=7%
つまり、言葉(言語情報)媒体以外の「非言語媒体」が93%も大きく影響しているのです。
簡単にプレゼンスキルがアップする3つのコツ
実際に、私が講師として立つときに、意識していることがたくさんあるのですが、特に大きな要素だと感じる3つをご紹介します。
①アイコンタクト(視線)をする
「目は口ほどに物をいう」といいますが、視線の位置は、印象に特に残りやすいものです。
できるだけ会場にいる一人ひとりの人と、視線をあわせることを意識してみてください。
話すときにはワンセンテンスごとに、一人ひとりの眼をしっかり見て話します。
そうすることで、「自分に話しかけられている」という印象を抱き、集中して聴くこと、会場が一体となる雰囲気を創ることができます。
スライドばかりをみて、来場者の顔を見ていないなんていうのは、問題外です。
②声のトーンにメリハリをつける
どこがポイントなのかが分らない単調なストーリーは、誰もが飽きてしまいます。
映画も起承転結、物語にメリハリがあるから引き込まれるのです。
伝えたいメッセージは、大きな声で話す、ゆっくり話す。
集中して聴いてもらいたいときは、逆に小さい声で話す、早口で話すことも効果的です。
そのためにも、腹式呼吸で、声に抑揚をつけて新聞を読むというトレーニングをおすすめしています。
③話すときの立ち位置を使って、分かりやすく話す
私は、あまり同じ場所で話し続けることをしません。
ピンマイクやコードレスマイクのときには、壇上から降りて話していることもあります(笑)
会場の中に入っていくと、参加者と双方向のコミュニケーションがとりやすくなる、対等な関係性を創ることができるという良さがあります。
私の講演や研修では、参加者の中に居眠りする人がいないというのは、ここに理由があると思います。
他人事になると、人は集中力が途切れやすいですが、いつ自分に話しかけられるか分らない状況にあると、嫌でも眠ることはできません。
講演台のマイクが固定されていたり、会場の設計上、どうしてもステージ上でしか話ができない場合は、話す内容によって立ち位置を変えます。
例えば、一人二役になって話をするとき、Aさん役のときにはステージの右側に立ち、Bさん役のときにはステージの左側に立つなど、意識的に使い分けます。
(過去と未来、成功事例と失敗事例など、対極にあるものを話すときにも使えます。)
そうすることで、聴く人も話の内容がより理解しやすくなります。
印象に残る数々のプレゼンをしたスティーブジョブズは、何週間も前から準備を始め、5分のプレゼンに対して数百時間を費やしたと言われています。
「あの人だからできる」のではなくて、できる人は、見えないところでしっかりトレーニングをしているものです。
ぜひ試してみてくださいね。
◆参考文献
TEDトーク 世界最高のプレゼン術 / ジェレミー・ドノバン (著)
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン / カーマイン・ガロ (著)