高校女子バスケットボール部監督 井上眞一さんから学ぶチームビルディング
(photo by arturodonate on GATAG)
昨年、放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀」に特集されていた高校女子バスケットボール部の監督 井上眞一さんの記事を拝見しました。
毎年選手が入れ代わる、高校スポーツの世界では、チームが強さを維持し続けることは非常に難しい。
だが、その常識に反して、約30年にわたり高校女子バスケットボール界で「絶対王者」として君臨する高校がある。
愛知県名古屋市にある桜花学園高等学校。そのバスケ部監督が、井上眞一(68)だ。
(プロフェッショナル 仕事の流儀より)
そんな井上監督のチームを育てる術が、チームビルディングの大きなヒントになったのでまとめてみます。
高校女子バスケットボール部監督 井上眞一さんから学ぶチームビルディング
①深い信頼関係の上の「厳しさ」
井上監督は、練習中は厳しい檄をとばし、一旦練習から離れるとおもいっきり笑顔になります。
言葉は、誰に言われるかでも、全くインパクトが異なります。
同じ言葉でも、Aさんが言うと染み入ってくるのに、Bさんに言われるとなんだか薄っぺらく感じる。
あなたもそんな経験、ありませんか?
それは、一重にどんな信頼関係が築かれているかが関係しています。
井上監督を恩師として慕う、女子バスケットボール選手の渡嘉敷来夢さんのインタビューが、それを物語っていました。
→ こちらから全文、読めます。
SPORTS COMMUNICATIONS 星に願いを: 渡嘉敷来夢(JXサンフラワーズ)<前編>「バスケ人生を変えた恩師との出会い」
「高校3年間は自分が一番成長できたと思います。それも井上先生のおかげです。先生はバスケットに関してはすごく厳しい人でした。ときには無理難題を言うこともありました。でも、全ては自分に期待してくれているからこそ。先生との出会いが自分のバスケット人生を変えてくれたと思っています」(渡嘉敷来夢さん)
この信頼関係がない中で、厳しいトレーニングをしても続きません。
まずは、関係性の構築が最も必要なのです。
②個々に合わせた指導と、長所を活かすトレーニング
井上監督の指導は、徹底して基本を叩き込むことにあります。
そして、選手、一人ひとりの「今」の状態にあわせて、檄を飛ばしたり、励ましたり、褒めたりします。
みんな性格も違えば、同じ選手でも状態が日々、変わります。
それをしっかり見ている井上監督を象徴するエピソードがありました。
試合間近になると、井上監督は、自宅で生徒一人ひとりに手紙を書きます。そのメッセージから、「ちゃんと見ているよ」「信じているよ」という大きな愛を感じました。
「選手の人生を、預かっている」という、井上監督の言葉が響きました。
私たちが共に仕事やプロジェクトをすすめるメンバーは、それぞれの人生の大事な時間を共にするのです。
どれくらい私たちは、一人ひとりを見て、そして、その貴重な時間を使っていることを意識しているでしょうか。
強いチームづくりに注目がいくことが多い井上監督ですが、実は、入部してきた選手を一人も脱落させずに、鍛えるところも井上さんの素晴らしいところです。
それも、井上監督が、一人ひとりに寄り添っているからできるのだと感じます。
③限界をつくらずに挑戦し続ける
選手には、練習時は本番の試合を想定して行い、極度の集中力と緊張感を求めます。
自分自身の限界を越えさせ、挑戦し続けることを大事にしています。
そして、井上監督ご自身が、それを体現して見せています。
練習時間以外は、自宅でバスケットボールの戦術研究をしている井上監督。
常に、最新のバスケットボール理論を学び、NBAや大学リーグの試合を見て、高校生に応用できる戦術はないか、コーチングなど指導方法の研究を行っています。
そして、それを本当に楽しみながら、挑戦し続けている姿が、選手にも伝わるのです。
「勝ちたいだけじゃ勝てない。勝つための準備をいかにするか。」(井上眞一監督)
私たちの仕事においても、見えないところの努力が、その人の根っこを作るのです。
◆参考元
プロフェッショナル 仕事の流儀 「勝利は、信頼でつかみとる」(高校女子バスケットボール部監督・井上眞一さん)
SPORTS COMMUNICATIONS 星に願いを: 渡嘉敷来夢(JXサンフラワーズ)<前編>「バスケ人生を変えた恩師との出会い」
◆参考文献
勝利にひそむ運と必然 / 井上 真一 (著)