海士町から学ぶ② ビジョンを共有して未来を創る方法

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株式会社巡の環 代表の阿部裕志さんのお話を聴かせていただき、海士町から学んだことは、町長のリーダーシップだけではありませんでした。

ビジョンを共有し、島全体で同じ未来像を描くことで、確実に進化する姿を見せていただきました。

特に、私が興味深かったことは、やはり教育です。

深刻な超少子高齢化がすすみ、統廃合寸前だった高校には、多くの移住者や全国から入学希望する子ども達が増え、2012年度から異例の学級増となっています。

教育改革を進めてきた岩本悠さんは、ソニーを辞めて島に移住し、「島前高校魅力化プロジェクト」を発足しました。

難関大学進学を目指す「特別進学コース」や地域づくりを担うリーダーを育てる「地域創造コース」などを新設、島外からの“留学生”に旅費や食費を補助する制度を作り、「島留学」を銘打った。
この取り組みは評判を呼び、2012年度からは異例の学級増、2013年度も45人が入学、島外からの生徒は22人だった。(Huffingtonpostより)

また、高校の魅力を高める試みの一つとして、町営の塾をつくって、塾と高校が連携しています。

講師陣は、リクルートで人事を担当されていた方や、京都大学出身者など、有名塾にも引けを取らない方ばかりで、Iターンの方ばかりです。

保護者や本人の了解をとって成績表をクラウドで共有したり、高校で宿題が多いときは塾の勉強を減らすなど、一体となって取り組んだ結果、早稲田や慶應の合格者を出すほど学力が向上したそうです。

こうした行政、民間、家庭が一体となって取り組むことが、なぜできたのでしょうか?

いろいろな要因があると思いますが、私が一番感じたことは、「ビジョンの共有」ができていることです。

ビジョンを共有して未来を創る方法

「どんな子ども達に育ってほしいのか?」
「どんな人が育つと、島の課題は解決されるのか?」
「私たちは、どんな未来を描きたいのか?」

何度も何度も対話を重ねてでてきた、「地域で持続可能な生業・産業を創り出せる人間=人間力」を育てるために、海士町の人づくりの指針を創りました。

人間力を構成する16個の要素を海士町なりに抽出し、それぞれの力を育むような教育プログラムがあります。

それを全体で共有し、同じ未来を描くから、目指す未来に向けて何をするべきか、どんなチャレンジが必要なのかが明確になってくるのです。

ビジョンづくりのポイント

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私は、ビジョンを創るときに、大事なことが3つあると考えています。

①ありたい未来の姿をわくわくしながら考える

目の前に、たくさん問題・課題が山積みになると、つい、それらを対処する方法を考えることに目がいきやすくなります。

そうすると、どこへ向かうかも分らないまま、小さな枠からうまれた解決方法を、いつまでもやり続けることになってしまいます。

それでは、根本的な解決をすることはできません。

10年後、30年後、本当にありたい未来の姿を、とことん自由に描くところからスタートしてみましょう。

今すぐにできるかできないかは、一旦わきにおいて考えてみると、制限なく描くことができます。

②「何を残すのか。そのために何を変えるのか」

私の中で、今回、一番の大きな学びだったのが、阿部さんのこの言葉です。

「“何かを変えること”から始めてはダメ。
“何を残すのか。そのために何を変えるのか”という順番。
残すものをちゃんと見定めないと、何のために変えているのかわかりません。」

何のために変えるのか?

いうならば、ここが「譲れない大事なもの=価値観」です。

自分達が本当に大事にしたいものを残すために、変わり続ける必要があるのです。

③とことん本音で対話する

地元の人、移住してきた人、行政、民間など、様々な背景を持っている人たちが集まる多様な場では、すぐに合意形成をとることが難しいことは、容易に考えられます。

一度で合意形成をするのではなく、時間をしっかりかけて、対話を重ねていきます。

ここで大事なのは、いかに本音の対話ができるかということ。

「声にならない声」をどれだけ聴いていくことができるか、ということだと感じます。

チームの中でも、この「声にならない声」を聴く時間を定期的にとることで、少数派の意見が多数派の意見によって押しつぶされることなく、そのチームにとって本当に必要な対話が生まれます。

その声を聴かないまま走ると、大きなひずみが生まれてしまいます。

あなたのチームは、定期的に声を聴くことをしていますか?

阿部さん、たくさんの学びをありがとうございました!

◆参考元
海士町 HP
株式会社 巡り環 HP
プラチナ構想ネットワーク 島根県隠岐郡海士町 「魅力ある学校づくり × 持続可能な島づくり」
ITmedia エグゼクティブ 「仕事を創りに帰りたい離島、海士町の挑戦」
Huffingtonpost 「ないものはない」離島・島根県海士町に人が集まる秘密とは?

◆参考図書
離島発 生き残るための10の戦略 / 山内 道雄 (著)
僕たちは島で、未来を見ることにした / 株式会社 巡の環 (阿部裕志・代表取締役/信岡良亮・取締役) (著)
ディープ・デモクラシー: 〈葛藤解決〉への実践的ステップ / アーノルド・ミンデル (著)

弊社では、チーム、組織のビジョンづくりも行っています。
まずは、わくわくする未来を描き、声にならない声を聴くところからはじめましょう!

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