海士町の町長から学ぶ① リーダーの3つの心得

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20080720OkiDouzen

先日、海士町(あまちょう)の株式会社巡の環 代表の阿部裕志さんのお話を聴かせていただきました。

海士町は、日本海の島根半島沖合約60キロに浮かぶ隠岐諸島のひとつです。(写真の左の島)

深刻な超少子高齢化が進行して、島の財政は破綻寸前の状況に陥っていました。
しかし、現在では、多くのIターン、Uターンが増え、約2300人の島民の中で移住者が1割を超える島になりました。

海士町に到着すると、「ないものはない!」と大きく書かれたポスターが迎えてくれるそうです。

この言葉には、2つの意味があって、文字通り、「(コンビニも娯楽施設など)何もないよ=無くてもよい」という意味と、「無いものはない(くらい)豊かな場所!=大事なことはすべて、ここにある」という意味があると教えていただきました。

そんな海士町の立役者である山内道雄町長のリーダーシップが、とても力強く、学ぶことが多かったので纏めました。

2002年に町長に就任した山内道雄さんは、平成の大合併のなか、「海士町は合併をしない」という選択をしました。

そのなかの大きな戦略として、守りの戦略と攻めの戦略を立てて、実行に移されたのですが、リーダーのあるべき姿を教えていただいた気がします。

海士町の山内町長から学ぶリーダーの3つの心得

①まずは自分の身をもって体現する

山内町長がまず行ったのは、自らの給与を50%カットすることです。

町長が「隗より始めよ(言い出した者から始めよ)」を実践したところ、職員から「私たち(の給与)も減らして下さい」と申し出がありました。
課長の給与も30%カットとなり、彼らの給与水準は公務員としては全国最低となってしまいました。(ITmedia エグゼクティブより)

その本気の姿勢が、「何かやらなければどうしようもない」という危機感を全職員が共有し、島全体で一丸となり、島の活性化に本気で取り組むスタートとなりました。

まずは、リーダー自身が、自分でできることから始めることで、その姿を見た周りの人たちの協力を得ることができるのです。

②聴く耳をもち、真摯に向き合う

山内町長は、子どもの意見を真剣に聞く場『海士町子ども議会』を開催されています。
ただ、討論をするだけではなく、子どもからの提案で大事なものは、採用し、実現しているというから驚きました。

子どもならではの、「海士町にディズニーランドをつくってほしい」という提案でも、無理だと頭ごなしに否定するのではなく、何故必要ないのかを真摯に回答します。

「海士町にディズニーランドはつくりません。ディズニーランドに行きたい人は、いけばいいからです。
それよりも、私は、海士町の豊かな自然の中で、ディズニーランドよりも楽しい遊びを工夫できる子ども達に育ってほしいと願っているからです。」

どんな人の意見でも、まずは一旦、聴くこと。

これは、リーダーにとって、必要な姿勢だと感じます。

③覚悟の決断をする

海士町は全国に先駆けて、CAS(Cell Alive System)という冷凍システムを導入しました。

もともとは、臓器保存などの医療目的で開発されたもので、細胞を壊さずに冷凍できるのが特徴です。

これを魚介類などの海産物に使い、取れたての美味しさと鮮度を保ったまま全国に流通することが可能になりました。

導入には多額のコストがかかりましたが、必ず回収できると山内町長は「覚悟の決断」をします。
そして、決めたらあとは、とことん成功するまでやり続けるます。

こうして、現在では、島の大きな産業の一つになっています。

「ぶれないこと、すべて我に責任ありといった、覚悟の決断が大切だと思っている。
部下が成功すればそれを称え、部下が失敗したら怒らなければいけないが、最後の責任は自分が取るということ。
次の選挙のことや、雑念に意識を奪われると弱くなる。そうしたことにぶれず、これからも前に進みたい。
そんなリーダーシップで臨んでいきたいと思っている。」(山内道雄町長インタビュー記事より)

自分が最後には、何があっても責任をとる覚悟で、決断できるか。

ここが強力なリーダーシップを発揮する人と、そうでない人の大きな違いです。

最後に、山内町長の言葉を紹介します。

「ないものがあったら、自分たちでつくればいいのです。
大事なものはすべてここにあります。
『自分たちの島は自ら守り、島の未来は自ら築く』という気概と誇りを持たなければなりません」

外側ばかりを見てないものを探すのではなく、内側の宝に気づくことこそが、他とは違うオンリーワンの輝きとなるのだと感じます。

◆参考元
海士町 HP
株式会社 巡り環 HP
ITmedia エグゼクティブ 「仕事を創りに帰りたい離島、海士町の挑戦」
「僕たちは島で、未来を見ることにした」 山内道雄町長インタビュー

◆参考図書
離島発 生き残るための10の戦略 / 山内 道雄 (著)
僕たちは島で、未来を見ることにした / 株式会社 巡の環 (阿部裕志・代表取締役/信岡良亮・取締役) (著)

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