「 自分ゴト化」するとチームと人が育つ
前回の記事では、問題を「自分ごと」と捉えて、改善方法を考えるようになった天草エアラインの成功事例をお伝えいたしました。
しかし、私たちは、忙しくなればなるほど、他の人や部署でおきる問題を他人事として捉えてしまうことがあります。
どうしたら、チームのメンバーが、「自分ごと」として問題を捉えることができるようになるのでしょうか。
「自分ごと」で問題を捉えるためには?
①関係の質を高める
関係性がいいときは、お互い助け合おうという意識が働きます。
しかし、関係性が悪いと、責任を押しつけ合う、足の引っ張り合い、妬み、ひがみといった負のエネルギーが充満します。
それでは、到底、一緒に問題解決に向かう仲間になるはずもありません。
一見、遠回りに見えますが、関係性の質を高めることが、結果、様々な問題を解決したり、新しいアイディアが生まれます。
②チームの目指す方向と、個人の沸き起こる想いを重ねる
私は、よく「水脈をあわせる」という表現をするのですが、個人の中から沸き起こる動機を、「想いの源」とすると、その源泉はそれぞれ異なります。
ただ、水源地が違う川も、流れ出ていくところは、一つの大海です。
チームの目指す方向と、個々の想いを重ね、水脈をあわせていくと、その流れの勢いはつき、豊かな川となっていくのです。
チームメンバーの「想いの源」に耳をすませ、どんな源泉があるのかを聴いていきましょう。
③チームの中での役割を決めて、任せる
私のチームでも役割を決めて、その部分を信じて任せるだけで、自発的に動き出している若いスタッフがいます。
自分でやったほうが早いことでも、一任したら「見守る」ことをします。
ただし、手を出さないことと放置することは、全く異なります。
見守り続け、変化した姿、小さな動きにも気づいたときには感謝を伝えます。
見守っているよ、というメッセージがあるだけで安心して、挑戦できます。
そして、最後には、何があっても自分が責任をとるという覚悟をリーダーが持っているだけで、チームメンバーはゆるぎない安心感のもと、自分の頭で考え、動き出していくことができるのです。
チームメンバーは、お互いがお互いに影響を与える存在です。
誰かを変えようとするのではなく、まずは、自分が、他の人の問題も自分ごととして捉えていくことからはじめてみてくださいね。
◆参考文献
「自分ごと」だと人は育つ 「任せて・見る」「任せ・きる」の新入社員OJT / 博報堂大学(著)