社員のモチベーションが向上し業績も上がるインターナル・マーケティングとは
今年も残すところわずかとなり、年明けから春にかけて研修依頼が増えてきています。
「1年のはじまりに、社員全員が同じ方向を目指せるビジョンづくりの研修をしてほしい」
「新入社員が入る前に、まずは今いるスタッフの中のコミュニケーション力をあげておきたい」
など、想いは様々ですが、社員教育に時間とパワーをかける企業は、変化に強い企業だと感じています。
人の成長は、企業の成長です。
「今は忙しいから」と言って、後回しにすればするほど、人が育たない=いつまでたっても忙しい、という悪循環を生み出します。
自分の中にある問題が、外側の事象となって現れる
私たちに起きる問題は、すべて、自分の中に問題があります。
なぜなら、同じことが起きたとしても、それを問題と捉えるか、捉えないかは人によって異なるからです。
企業もまったく同じことがいえます。
起きる問題は、不況のせいでも、競合会社が力をつけたからでもなく、社内に問題があるのです。
社員自身が自社のサービスに惚れ、会社を誇りに思っていたら、お客様にも伝えたくなるし、伝わるように工夫するようになります。
そのためにも必要なものが、「インターナル・マーケティング」です。
インターナル・マーケティングとは
「インターナル・マーケティング」とは、社内の人を対象にしたマーケティング活動のことです。
私たちは、マーケティングというと、顧客を対象とした活動をイメージしますが、社外の顧客と接する社内スタッフが会社を誇りに思っていなかったら、当然、お客様へ伝えることはできません。
魚谷雅彦さんが日本コカ・コーラの社長時代に行ったインターナル・マーケティングは、ユニークなものが多いと感じます。
なかでも「こころざし読本」が、とても面白かったのでご紹介します。
こちらから、全文よめます。
→日経ビジネス 魚谷雅彦の 目指せ!マーケティングの国ニッポン
新聞広告を使って、消費者から1週間で1万を超える生の声を集め、それらを、テーマごとに関係部署で課題改善のためのアクションプランを作成しました。
それをもとに、社員間で大いに議論した上で、「10の約束」として消費者の方に分かりやすい言葉でまとめたものを広告に掲載しています。
まさに、コカ・コーラシステム社員全員による社会に対するコミットメントです。
こうした取り組みをただコミットするだけでなく、全社として実行するために、全社員で価値共有を行ったツールが「こころざし読本」でした。
「こころざし読本」をとおして、全社員に想いを伝えるために
普通に、冊子を作って配っても伝わらないかもしれないと思った魚谷さんは、そこに社員1人ひとりの名前を刻印して、パーソナルなものを制作しました。
そして、コカ・コーラのボトルの形をしたパソコンのマウスをつくり、夜のうちに全社員のマウスをそれに取り換えてしまいます。
社員さんが翌日、出社すると、コカ・コーラ型のマウスとともに自分の名前が刻印された本が、デスクの上に置いてあるのです。
「社員の心に火をつけることがうまい企業ほど、消費者の心をとらえるのもうまく、業績もよい傾向にあると思います。(市場を創り出す「インターナルブランディング」より)
その後、彼らが実際にコミットメントしたことに取り組む中で、数々のイノベーションを起きています。
新年に行う研修は、経営陣からパートさんまで全社員がそろって受講していただく企業さまが多い傾向にあります。
社員さんの人数が増えてくると、なかなか全スタッフ集めての研修は難しいこともありますが、それだけ本気度を感じて、とても嬉しく思います。
本当にありたい未来の姿に近づけるインターナル・マーケティングの一つでもあると感じます。
私も、さらに気合をいれて準備して臨みます。
◆参考元
MITSUE-LINKS コラム
インターナル・マーケティング 円滑なコミュニケーションだけが組織の実行力を向上する
日経ビジネス 魚谷雅彦の 目指せ!マーケティングの国ニッポン
「市場を創り出す「インターナルブランディング」社員との価値共有にこそマーケティング手法を駆使すべし」
◆参考図書
こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる / 魚谷 雅彦 (著)