長野県の小布施町の図書館「まちとしょテラソ」が教えてくれた対話の重要性
地域づくりの活動をしている人なら、誰もが一度は名前を聴いたことがあるであろう、「小布施(おぶせ)町」
歴史的遺産を活かした街づくりで人気を呼び、今や北信濃地域有数の観光地として認知度も高くなっています。
地域づくりの勉強のために、小布施町に視察に来ています。
中でも有名なのは、『死ぬまでに行きたい世界の図書館15』に日本で唯一選ばれた「まちとしょテラソ」。
皆さまに親しまれる集いの場になるように、これまで親しまれた町の図書館であることと、待ち合わせの場という意味を込めた「まちとしょ」そして、「世の中を照らしだす場」「小布施から世界を照らそう」などの考えを加えて「まちとしょテラソ」という愛称がつきました。
(まちとしょテラソ HPより)
住民と対話を重ねてできた町の図書館。まちとしょテラソ
図書館ができあがるまで、街の人たちと50回以上もの会議を重ねて建設してきたと伺い、驚きました。
細部に至るまで、「学びの場」「子育ての場」「交流の場」「情報発信の場」になるように設計されています。
例えば、屋根の形をとっても、美しい曲線は、後ろにそびえ立つ山々に連なって見えるようにしたいと思いが込められているそうです。
実際に、子ども達から大人までたくさんの人が本を読んだり、勉強をされていました。
このまちとしょテラソと小布施町役場、そして小学校が隣接していて、役場の中で小学生の姿を見ることも日常茶飯事のようで、多様な世代が同じ空間で生きることの良さを感じました。
地域住民が主体となった街づくりのベースには対話がある
私が、小布施にきて一番感じたことは、住民主体の街づくりだから、こんなにも住んでいる人たちがいきいきと誇りをもって生きているのだと感じました。
そして、そのベースには、「どんな町にしたいのか?」「自分たちはどんな町に住みたいのか?」という想いを語り合う対話がベースにありました。
その象徴となる場所が、こちらです。
20年前に住民が出資してできた会社!株式会社 ア・ラ・小布施
おぶせガイドセンターとして観光案内所、カフェ、ゲストハウスなどを経営している株式会社なのですが、普通の会社とは少し違います。
20年前に有志で出資しあって創った株式会社で、経済活動で得た利益配当は行わず、その資金はすべて地域活動に使っているのです。
配当はお金ではなく、自分たちが住みやすい、住んでいて楽しい街になることで還元されてくるという発想です。
利益は、音楽イベントを開催したり、街が楽しくなる活動に使われるそうです。
小さな積み重ねが、大きな未来を創る
今でこそ地域活動、社会起業家なんて言葉もありますが、20年前といったらNPO法もない時代です。
ましてや、当時のお金の価値は今とまったく異なっていたはずです。
それでも、未来の街のために、自分たちの住む町のために身銭をきって活動している人たちがいたことに、深い感銘を受けました。
他にも住民主体となって動きだし、行政がサポートする形のプロジェクトやユニークな活動も教えて頂いたので、またご紹介します。
自分たちが楽しいと思うことを、やれることから。
小さな対話と実践の積み重ねが、大きな未来を創るのです。